順風逆風

日々吹いている風を受けて。今を大切に思いのままに綴っていきます。

秋の満月

こんにちは。秋の夜空は満月がとても綺麗です。澄み切った星のちりばむ墨空に

青白いほどに光り輝く月。微かにたなびく筋雲が月を遮り、また暫くすると、

隠れる前にも増して輝きを放ちながら雲の切れ間から姿をみせる満月。

日本人はいにしえより、月を大切なものとして永く、永く愛で、心の安らぎを

得てきたのです。

仲秋の名月

月の満ち欠けの周期をもとに作られた太陰暦(旧暦)に代わり、太陽暦新暦

採用されたのは明治5年のことでした。

旧暦の7月、8月、9月は新暦の8月、9月、10月となり、月を仰ぐ季節と

してきました。8月の仲秋の月をご存知の方も多いでしょうが、7月はなん

いうか知ってますか。7月は初秋の月、9月は季秋の月と呼んでいました。

旧暦8月15日ごろの満月を仲秋の名月としたのは江戸時代に広まり、十五夜

お月さまとも呼ばれています。翌月には十三夜の月がとても綺麗だとされ、

十五夜と十三夜のどちらかを見すごすことはよくないとされ、両方みることが

大事だそうです。ちなみに十五夜の月を別名、芋名月と十三夜を栗名月と呼ば

れてます。その時期に獲れる自然の恵みに感謝しつつ月を仰ぎみたのでしょう。

観月の所へ

平安の時代から月を愛でることを趣とした貴族が住んでいた京都はまさに、名

月を見る場所に相応しく名所、神社、お寺など観月に最適です。その中でも

お薦めの場所をちょっと見てみましょう。

京都でも有名な「神泉苑(しんせんえん)」です。神泉苑は二条城の近くにあ

り、雨を司る龍神が住んでいるとわれ、祇園祭発祥の地としても知られており

京都人の大切な神社の一つです。龍神が住んでいる池に舟を浮かべそこから月

を見ることができるのです。池に映る月がなんとも風流なそして雅な世界を作

りあげています。

次に川の橋の上から月を眺めるという、また趣が異なる素敵な場所があります。

京都伏見にある「観月橋」です。1596年に架けられたこの橋は、当時は

木津川、宇治川桂川の三つの川が合流して淀川となって流れていたところで

橋から眺める月があまりに美しかったので月見橋と最初は名付けられたのでし

た。その後時代を経て、観月橋と呼ばれるようになったそうです。観月に夜、

外へ出て橋に凭れて月を眺める。夜気を感じながら一興です。

 

秋の夜長、煌々と夜空を照らす月を眺め、思いに耽る日があってもいいですね。

かつて古の人々と同じ月を愛でる。悠久の時間の流れを感じるのは今も昔も

変わりません。