順風逆風

日々吹いている風を受けて。今を大切に思いのままに綴っていきます。

百舌が枯れ木で鳴いている

こんにちは。明日はスーパームーンということらしいのですが、本日は雲が薄く

掛かって、朧月夜のようでした。深夜でも月は見えますか?

先日ブログでモズの写真がアップされていました。とても綺麗に撮れてましたの

で百舌をじっと見入ってしまいました。百舌というとふと小学校の頃に先生が

歌って教えてくれた歌を思い出しました。

百舌が枯れ木で

 もずが枯木に鳴いている
 おいらは藁をたたいてる
 わたびき車はおばあさん
 こっとん水車も回ってる

 みんな去年と同じだよ
 けれども足ん無(ね)えものがある
 兄(あん)さの薪割る音が無(ね)え
 バッサリ薪割る音が無(ね)え

 兄(あん)さは満州へ行っただよ
 鉄砲(てっぽ)が涙で光っただ
 百舌と寒くも泣くでねえ
 兄(あん)さはもっと寒いだぞ

とこんな詩が綴られています。歌詞に物悲しさがありますね。この歌は第二次

世界大戦時に反戦歌として作らたからです。茨城県の民謡とてして、戦時中、

兄を兵隊としてとられた家族が、やるせなさと怒りを内に込めて歌い、広まり

ました。詩は昭和10年10月にサトウハチローが「僕らの詩集」(講談社)に発表

したもので当時のタイトルは「百舌よ泣くな」でした。一方、曲は小学校の音楽

教師だった徳富繁が昭和13年3月18日に作っています。

昭和初期の戦時においては全国各地に戦地へ出兵した若い息子たちを思う家族が

兵隊と同じ数だけいました。その思いはただ待ち焦がれるだけではなく、時に

戦争に、政府に対し怒りを持つことになっていきました。言論統制下の世の中で

は公の場で思いを語ることはできず、「百舌が枯れ木で」といった歌に思いを託

すことしかなかったのでしょう。何時の時代も本音を語りあえる世の中であって

ほしいものです。

秋も深まると百舌はキィーキィーと澄み切った空に甲高い鳴き声を発します。

鳴き声は戦地から帰らない息子への思いを嘆く声に家族には聞こえたのかもしれ

ません。

  子を思い 藁をたたいて 鵙の声

秋も深まってきました。